“And Close As This” Albums which includes the Songs Peter Played in Japan 14 |
“AndClose As This” (1986)
1.Too Many of My Yesterdays
2. Faith
3. Empire of Delight
4. Silver
5. Beside the One You Love
6. Other Old Clichés
7. Confidence
8. Sleep Now
前作「Skin」に引き続き、同じ年内に発表された本作は、打って変わって「静」的なものを中心としたアルバムになっています。基本的にはMIDIキーボードと両手だけで演奏できる楽曲に絞り込んだコンセプトで、それを象徴するタイトルと裏ジャケットの両手が交差している写真。ピアノの音が(エレクトリックもアコースティックもMIDI音源によるもの)メインですが、そこにMIDI音源を用いたストリングスやパーカッションがわずかに重ねられているもので、とても静謐で、歌に集中した印象のアルバムに仕上がっています。
まずは、アルバム冒頭を飾る「Too Many of My Yesterdays」は、このアルバムの中で最も多く(15回)演奏されている曲です。絶妙な緩急のついたピアノと歌が、頭からぐいぐいと聴き手を引き込んでいきます。この曲もセット全体の2曲目、3曲目として演奏されることが多く、その日の基調を整えていくような役割を持っているかもしれません。凛として、最初のピアノのフレーズで会場の雰囲気が変わります。
故キース・エマーソンとの共作として知られる「Empire of Delight」はこれまでに3回演奏されています。うち2回は2007年のピアノ曲だけの縛りを付けたツアーの時に京都と東京での1回ずつの演奏なので、京都にいかれなった私のような人間には実質的にこれまでに2回しか聴いたことがない曲です。静かでゆっくりなテンポでの展開はピアノのフレーズにエマーソン的なものを感じることができるかもしれません。
同じ3回の演奏には、「Silver」と「Other Old Clichés」があるのですが、「Silver」に関しては、1986年と2007年の京都公演が含まれているので、私は1回しか聴いたことがありません。大変ドラマチックな曲で、このアルバムの中で割と激しい曲なので、もう一度聴きたいのですが、果たして今年はやってくれるでしょうか?
一方の「Other Old Clichés」は、3回とも東京公演ですが、いずれも会場が異なっており、演奏した年も違います。最後に演奏したのが2011年ですからすでに6年が経過しているので、こちらも久しぶりに聴けるかも、と期待しています。
「Confidence」と「SleepNow」は、ともにこれまで5回のパフォーマンスを見せてくれています。また2曲両方とも前回、前々回と2度続けて演奏してくれているので、今年はもしかすると聴けないのかなと心配しています。「Confidence」はアルバム中最も激しい曲で、ライブでも非常に迫力のある曲なのでぜひまた演奏してほしいところ。
全アルバム中で日本公演での演奏曲が最も多いアルバムである「And Close As This」ですが、「Sitting Targets」や「Patience」とは違って、二桁台の楽曲は1曲だけしかなく、そういう意味では「Chameleonin the Shadow of Night」と似ているかもしれません。しかしながら、なかなか演奏しない楽曲でも、ある時ふいに復活したりしているという見方をするならば、このアルバムもどの曲がいつ演奏されてもおかしくない必聴アルバムの一つだと言えるでしょう。
byBLOG Master 宮崎
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