"Exposure " Robert Fripp |
Disc 1: First Edition
1. Preface
2. You Burn Me Up I'm a Cigarette
3. Breathless
4. Disengage
5. North Star
6. Chicago
7. NY3
8. Mary
9. Exposure
10. Haaden Two
11. Urban Landscape
12. I May Not Have Had Enough of Me But I've Had Enough of You
13. First Inaugural Address to the I.A.C.E. Sherborne House
14. Water Music I
15. Here Comes the Flood
16. Water Music II
17. Postscript
Disc 2: [Third Edition]
1. Preface
2. You Burn Me Up I'm a Cigarette
3. Breathless
4. Disengage II
5. North Star
6. Chicago
7. New York, New York, New York
8. Mary
9. Esposure
10. Haaden Two
11. Urban Landscape
12. I May Not Have Had Enough of Me But I've Had Enough of You
13. First Inaugural Address to the I.A.C.E. Sherborne House
14. Water Music I
15. Here Comes the Flood
16. Water Music II
17. Postscript
[Alternate Take]
18. Exposure
19. Mary
20. Disengage
21. Chicago
22. NY3
ようやく発売されたロバート・フリップの最初のソロ・アルバムのリマスター盤。製作における参加メンバーのレコード会社/マネージメントとのいざこざのおかげで複数のバージョンが最初から存在し、また再発やCD化に際してもリマスターやトラックの差し替えがあったため事情はより分かりにくくなっていた。今回フリップ自身による「完全版」だということで収録されているのは「First Edition」と「Third Edition」それに「Alternate Take」が5曲。Second Editionはどこへ行ったのだろう?とも思うが、これはどうやら「Difinitive Edition(1989)」のことらしく海外版CDで採用されたものとある。「First」はもちろんLPで発表された当時のもの。「Third」は「リマスター」として日本盤のCDで用いられたバージョンをベースにリマスタリングを施し、うち3曲をダリル・ホールのものに差し替えたものだという。差し替えられた曲で元のに入っていたバージョンは同じくリマスターされて「Alternate take」として収録されているので、それらの順番を入れ替えることで元の形にすることも可能であると記載されている。
まず興味深いのは1stエディションと3rdエディションでの「ディセンゲイジ」や「シカゴ」でのピーターとダリル・ホールの歌い方の違い。「ディセンゲイジ」ではともに破壊的でパンキッシュな歌い方をしているが、ダリル・ホールはどうしてもソウルフルなブルース的な節回しが随所に登場する。その辺がよりパンク・ミュージックを直接的に連想させる。また「シカゴ」ではよりブルージーに聞こえる。「シカゴ」ってこんなにも黒っぽいノリの曲だったっけ?と一瞬思ってしまった。
しかし、何と言っても面白かったのは「シカゴ」のオルタネイト・テイクだ。ピーターの歌声は深く、凄みがあり以前のバージョンよりも素晴らしい。しかし後半はテリー・ローチェが歌っているのだ。これがまったく異なるベクトルで歌われているので同じ曲の前半と後半とでこうも印象が変わるものかと驚かされた。いやはや凄い録音があったものだ。
もちろん、このアルバムはロバート・フリップのソロ・アルバムであり、そもそもはダリル・ホールで男声ボーカルは統一されるはずだったのだから、諸般の事情でピーターが「代役」を果たしたのだと考えると、もっと軽く聞き流してもいいのかもしれないが、そこはピーターとロバート・フリップの組み合わせである。そんなことは許してはくれない。ソロ・ライブでの隠れた人気アンコール・アカペラ曲として認知されている「シカゴ」はもう一度ここでじっくりと聴いてみて欲しい。あ、当然このアルバムで一番人気のある曲は「洪水」だというのは共通の理解がされていると思いますよ、はい。
by BLOG Master 宮崎