"The Long Hello Volume Four" Guy Evans |
"The Long Hello Vol.4" Guy Evans with Life of Riley & David Jackson
1. Holsworthy Market Place (Perring)
2. Trick or Treat (Evans)
3. Der Traum Von Julius (Perring)
4. The Rock of Riley (Evans)
5. The Caretakers's Wife (Evans, Perry, Jackson)
6. The Wonderful Brothers (Evans, Perring, Sawyer)
7. Martha's Express Wishes (Evans)
8. Hamburg Station (Evans, Williamson, Sawyer)
9. Solo Kabine (Evans)
10. The Finger Points (Evans, Kerridge, Perring)
11. Haben Sie Waffen Oder Funk Dabei (Williamson, Evans)
12. Slow Slither Loop (Williamson, Sawyer, Evans)
13. My Feet Are Freezing But My Knees Are Warm (Evans)
--Bonus Tracks--
14. The Rock of Riley (Slight Return) (Evans)
15. The Caretaker's Wife '92 (Evans, Perring, Jackson)
16. Looking At You (Jackson)

Musicians:
Guy Evans - drums, percussion, tympani
David Jackson - saxes, flutes (1-5,13)
Giles Perring - guitars; piano (1-6,10)
Chris Kerridge - guitars (4,6,8,10,12,13)
Dave Sawyer - drums, percussion (2)
Dane Kranenburg - bass (1,2,14)
Harry Williamson - slithar, bass (5,7,8,12,13)
Paul Schubert - bass (4)
Produced by Guy Evans and Harry Williamson
Engineered by Harry Williamson
Recorded at Otter Studio, Oxe's Cross,
Devon, Nov. 1981 - Aug. 1982, except
track 4 at Hidden Driven Studio, Pyworthy
Mixed Guy Evans and Harry Williamson
録音は、Kグループでの活動とほぼ同時期である。しかしここで聴ける音楽性はガイの最も根幹にあるジャズのエッセンスの強いものだ。またそれと趣を同じにするデヴィッドのプレイもまたジャズよりのものになっている。メンバーを見ると、そこにはその後エコー・シティとして行動をともにしているメンバーの名前がいくつか見受けられる。また、意外と知られていないガイの活動としてマザー・ゴングやホーク・ウインドでの演奏があるのだが、それらの活動からマザー・ゴングで有名なハリー・ウイリアムソンが共同プロデューサーとして、また演奏でも参加しているのが目を引く。
まず1曲目はスローなリズムにトロピカルな雰囲気のピアノが意表をつくが、ジャイルズ・ぺリンの作だ。おや、と思っているとガイの手になる2曲目でもなんとなくトロピカルな雰囲気は残っている。それは単にリズムや楽器がそうだというだけでなくフレージングやコード進行自体もそうなのだ。そこに加えてギターや管楽器に加えられているエコー処理がかなり深く、南の島の夜の屋外レストランでライブを見ているかのような錯覚に陥ってしまう。楽曲は基本的にこのような雰囲気のものが多いが、無理に言葉で説明しようとするなら、どちらかといえばスタンダード・ジャズ的な楽曲にかなり細かい遊びをパーカッションが織り込んでいる、とでも言えばいいだろうか。その遊びにはかなり斬新なものもあるが、曲が基本的に持っているスタンダードな雰囲気を壊すところまではいかず、奇妙なバランスの取れた状態を作り出している。ある意味とても聞きやすいまとまったアルバムに仕上がっているので、LHシリーズの中でも一番一般的なジャズ音楽に近いと言えるかもしれない。
もちろん、中には、後に『ユニオン・チャペル・コンサート』としてリリースされたライブで演奏された「ハンブルグ駅」などのようなパーカッションによる実験的な楽曲も含まれており、そういった要素を追いかけて聴きなおしてみるとまた違った面が聴こえてくるから不思議だ。そういったスタンダード的な面とアヴァン・ギャルドな面の両方ともがこのアルバムには同居している。そういう意味では、LH4とLH3の音楽を通過しておくことでVdGGのもつジャズ的な要素がガイとデヴィッドの双方からもたらされている事が理解できるだろう。それらはジャズといっても同じものではなく、かなり違っていることも。『Present』ではそれらの要素が過去の作品群よりもよりストレートな形で反映されている楽曲アレンジを聞くことができるものもある。
ガイが中心に作成されたLH1、ガイとニックの連名であったLH2、そしてこのLH4を聴いてくるとなんとなくガイの持つ音楽性が見えてきそうになるが、エコーシティの作品をまだ聴いたことがないのでここで決め付けるのはまずいだろう。ただここにはかなりジャズよりの音楽があるというだけにとどめておこう。私にはとても気持ちよく聞こえる音楽だ。
CD化は1993年にVoiceprintレーベルからなされており、ボーナス・トラックが3曲追加されている。ひとつは収録曲の初期のバージョンで、デヴィッドが初めてその曲を聴いて最初にサックスをダビングしたときのものだとある。要するに最初のお試し演奏の録音のようだ。2曲目は1992年に行われたエコーシティの仲間ほかとのライブから収録。そして最後の曲が問題だ。LH1が録音された当時の音源でデヴィッドのペンになる曲。演奏はLH1のメンバーでガイ、ヒュー、デヴィッドの3人にギターのピエロ・メッシーナが加わった4人。この曲だけは雰囲気がまったく異なっている。
オリジナルは1983年にShanghaiレコードから発売されている(HAI 101)。CDはVoiceprint(VP112CD)で1993年。Special ThanksとしてハリーとともにGili Smythの名前が挙げられている。残念なのはLPのジャケットのデザインは使われておらず、もともと裏ジャケットのデザインであったものがCDでは表として使用されている。LPではほかにガイ自身によるLHシリーズ4作の解説と参加メンバーの白黒写真が収録されたインサートが1枚入っていたが、CDではそれも削除されている。その辺はちょっと残念なことだ。
by BLOG Master 宮崎