2017来日公演予習14;Songs Played 14 Time |
今日のテーマは、これまでに日本で14回演奏された曲です。
"Shingle Song" - 「Nadir's Big Chance」(1975)
"Still Life" - 「Still Life」(1976 VdGG)
"Traintime" - 「Patience」(1983)
何と3曲のみです。
「Shingle Song」は、それほど強烈な個性の曲という訳ではないと思いますが、最後に繰り返される「no, no, no, no, I just can't get you from my mind.」というフレーズは、耳に長く残ります。静かな曲ですが、途中の間奏部分の展開はVdGGでのコード進行をどことなく思わせるものです。
「Still Life」は同名のアルバムから、ソロではお馴染みのピアノでの演奏ですが、VdGGのライブでは、ヒューがオルガンを弾くので、ピーターはギターを弾くというのがいつものパターンです。ソロとバンドの演奏の対比をしてみるのも面白いでしょう。タイトルはもちろん「静物画」というのがこの単語の日本語訳としては最も一般的なものですが、字義通り「静かな生活」という意味合いを重ねてみても成り立つ歌詞の内容でもあり、あるいは「(死んでしまって)動かなくなってじっとしている命」という読み取り方もあり得るかも、という方もいらっしゃいます。最後の部分で繰り返される「Hers Forever, hers forever, in still life」は、ライブでは「Yes, I'm hers forever in Still Life」と歌われることも多いですね。どの意味で読み解くかは、あなた次第です。
「Traintime」は、一体どういう訳語が良いのでしょうか。この曲名をPCで打つと必ずスペル・チェッカーがエラーだと言ってきます。こういう英単語はない、と一般的にはみなされるようです。ただ、クリームのアルバム「クリームの素晴らしき世界 (Wheels of Fire)」に収録されているジャック・ブルースの曲がこのタイトルを使用していて邦題は「列車時刻」となっている。ほかに「(列車の)発車時刻」という訳語も存在しているようです。
タイトルについては置いておくとして、ソロ・ライブでの演奏は、スタジオ盤よりもゆっくりとしたテンポで、重々しいリズムを刻むことが多いようです。超重量級の蒸気機関車に引っ張られる長い客車のイメージが浮かびます。ピーターがイメージしているのは、一体どこの列車なのか。そんな想像をめぐらすのもこの曲を聴く楽しみの一つです。
これまでの日本公演で印象的だったのは、ピーターが途中でピアノの音をはずしてしまい、なかなか適切な音程を見つけられなかったことでしょうか。大脱線バージョンと個人的に呼んでいますが、それでも力づくでボーカルはちゃんとした音程をキープし、ピアノも何とか修正した、という聴いている側も力を込めてしまった演奏でした。まるで、事故で脱線しかかった列車を、悪戦苦闘しながらも何とか無事に駅まで到着させる主人公の登場する映画のような1曲となりました。
by BLOG Master 宮崎
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