Project Brain (Guy Evans) #9 - Subterraneans 2 albums and one more... |
"Live in Berlin" - Subterraneans (2009)
1. Canticle in D (5:05)
2. French Cafe Daydream (6:00)
3. Soul Mass Transit (6:17)
4. Hazel Eyes (4:36)
5. More Here Now (4:43)
6. This Too Shall Pass (8:59)
7. Mona Lisa (9:45)
8. Belle Tout (9:46)
2008年に行われたベルリンでのライブ録音である。聴こえてくる音の響き具合や客席とのやり取りから想像できるのは、小さなライブハウス。そこでのリラックスした雰囲気のライブです。セットは、それまでのアルバムからと、この当時まだ発表されていなかった最近作「This Too Shall Pass」からの楽曲で構成されています。基本的にはドラムス、ベース、ギター2本とボーカルというシンプルな編成ですが、ダークでダルなアートロック的な雰囲気、印象はスタジオ録音と基本的には共通しています。スタジオ録音よりもシンプルな分、より本質的な楽曲の姿が見えているかもしれません。
そして、今のところの最新作が次にご紹介するアルバムになります。
"THIS TOO SHALL PASS" - Subterraneans (2011)
1. I'm For You (5:50)
2. A Lot Like Love (4:44)
3. Kicks/Joy/Darkness (12:03)
4. The Great Ships (3:12)
5. Wild Beauty (6:07)
6. Feedback For Trish Keenan (7:33)
7. This Too Shall Pass (10:47)
8. Gather Me (4:52)
9. Lights (5:35)
10. Vita Dora (7:55)
Members
- Jude Rawlins (vocals), ex-Angelhead
- Carl Homer (guitar), ex-Wave
- Robin Phillips (bass), ex-Solstice
- Guy Evans (drums)
すでに、ガイが参加した2002年以降のアルバムについては何作かご紹介してありますが、この最も新しいアルバム(といってももう2年前になりますが)については、紹介するタイミングを逸しておりましたので、この機会にきちんとご紹介しておきます。
この直前のスタジオ作「EIGHTS & RHYMES」 (2008) では、インスト・アルバムでありながら、ドラムスそのものの出番があまりなかった訳ですが、本作では、再び歌もの中心のフォーマットに戻っており、より楽曲の姿が明示的になっていることもあって、ガイのドラミングもなかなかの味わい深いものとなっています。しかもなかなかのワイルドな曲が揃っています。
基本的にはリーダーのジュード・ロウリンズの始めたバンドであり、当然ながら、彼の歌とギターが中心になっている訳ですが、このバンドを初めて聞く人が、一様に驚くのは「歌があまりに下手」ということなのです。本当にプロのバンドなのか、と訝しむ人がほとんどです。それほどに癖の強いボーカルが特徴だと言えます。ただ、何度も聴いているうちに病み付きになるかもしれません。
基本的な編成は、ギター2本にドラムとベースのシンプルな編成。パンクに影響を受けた80年代のニューウェーブのような雰囲気も持ちながらも、深めのリバーヴのかかったギターが前面に出ていることや、キーボードが入らないことで、極めてダークでダルな雰囲気を持っています。イギリスでは、一般的にアート・ロックだと認知されているようです。デヴィッド・ボウイーの元奥様との交流もあるようです。気恥ずかしくなるほどストレートな歌詞も特徴でしょうか。それゆえ、楽曲の良さが勝負です。
ガイの加入以前のバンドの歴史についても振り返ってみましょう。以下はバンドの公式サイトのバイオグラフィーからの要約です。
ジュード自身は、パンク・ミュージックの影響を大きく受けて育ってきており、実際にパンクバンドのフロントマンとしてバーミンガム周辺で活動していたようです。彼が仲間たちと結成したAngelhead(Jude Rawllins, Neil Gardner, Richard Cole and Mat Hook)は、それなりに人気があったようです。ギターのカール・ホーマーは、エンジェルヘッドが最後のライブを行ったケンブリッジ大学の出身で、学生時代には大学やエジンバラ・フェスティヴァルでピンク・フロイドの「ザ・ウォール」を上演していたそうです。カールはマットが脱退したエンジェルヘッドの助っ人としてバンドのライブに加わっていたとのこと。
エンジェルヘッド解散後、ジュードはカールをベース、そしてニール・ガードナーをギターに迎えてロンドンでのライブ活動を開始したものの、すぐに作曲に専念するために拠点をイギリス南部のエセターに移します。そう、デヴォン州のエセターです。そしてカールと共に最初のアルバムとなる「April May June」の制作を行ったのでした。そのタイトルはサルトルの「嘔吐」の中から取られています。このアルバムの制作に手を貸していたビリー・マッケンジーが、バンドの名前は複数形が良いと提案したことから、ジュードはデヴィッド・ボウイーの「ロウ」の中から、ジョイ・デヴィジョンが決して使わなかった「サブテラニアンズ」を採用したのでした。
バンドは、Judy Nevilleや the Slide EPなどのパフォーマンス・アートの人たちとのライブをいくつか行った後に2枚目のアルバム制作に取り掛かります。そんな中、前作を助けてくれた友人たちが次々とバンドを離れていき、バンドはライブを行えない状態となっていきました。そういう状態の中で生まれたのが「モナ・リザ」でした。しかし同時にバンドは終わったかのように思われたそうです。そんな時、ジュードに映画「パンドラの箱」(復刻版)のサントラの話が来たことで転機が訪れます。「パンドラの箱」のフィルムにはサウンド・トラックがありませんでした(それゆえテレビ放送されたこともありませんでした)から、新たにオリジナルの音楽をつけなければなりませんでした。しかも資金もなし。その時ポール・ヘイグが、彼のレーベルとの契約を提示してくれて、バンドの状況を一変させました。レコーディング費用を持ってくれたのです。
このアルバム制作によって、バンドは、その音楽とは逆のラウドでノイジーな音楽をやりたくなったそうです。そうすることが好きだったから。そしてデヴィッド・ボウイーの元妻アンジーもそれが好きでした。ジュードはローリング・ストーンズの「ザ・ラスト・タイム」の誇張されたアメリカンスタイルのカバー・バージョンをやることをアンジーに歌ってもらえないかと提案しました。そしてそれは実現したのです。
そしてジュードとカールは、再びライブ・シーンに戻ることを決意しました。それが2002年のことです。そのメンバーとして集まったのが元ソルスティスのロビン・フィリップスとガイ・エヴァンスだったのです。(注:ガイ参加の経緯はバイオグラフィでは触れられていません)
そして、それまでの活動に区切りをつけるかのように、「スライドEP」(1996年のライブ)と「オーリー・フライト」(おもにカバー曲からなるそれまでの未発表曲集)を発表。2002年12月にはロンドンのスタジオで「ソウル・マス・トランジット」の録音を始めたという訳です。
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また、サブテラニアンズのリーダーであるジュード・ロウリンズは、「ライブ・イン・ベルリン」と並行して、元ザ・スリッツのギタリストであるヴィヴ(Viv Albertine)のソロ活動も手伝ったようです。2010年の暮れに、ヴィヴが期間限定のフリー・ダウンロード配信を行ったクリスマス・ソング「Home Sweet Home (at Christmas)」に参加しています。そしてそこにガイの名前を見つけることが出来ます。
“Home Sweet Home (at Christmas)” - Viv Albertine
- Viv : guitars/vocal,
- Toby Strain : bass guitar,
- Jude Rawlins : bass guitar,
- Zoe Street Howe : percussion/organ/backing vocals/glock
- Guy Evans (Van Der Graaf Generator) : drums.
- Engineered by Jude Rawlins
- Mixed by the legendary Dennis Bovell
これは、現在ではiTunesやアマゾンでダウンロード販売されているようです。
また、サブテラニアンズのアルバムを出しているエレクトリック・レーベルがアップした静止画の映像付きでYoutubeでも聴くことが出来ます。
by BLOG Master 宮崎