Peter Hammill Live at Pit-inn, 25th Sep. 2011 |
25th September 2011 Sun.
1. My Room (mistaken to see the other day's setlist)
2. The Siren Song (re-started)
3. Too Many of My Yesterdays
4. Gone Ahead
5. The Unconscious Life
6. A Better Time
7. Amnesiac
8. Sitting Targets
9. The Birds
10. Like Veronica
11. Bunsho (world premier as solo)
12. Modern
13. This Side of the Looking-glass
14. Your Time Starts Now (world premier as solo)
15. Labour of Love
16. A Way Out
- encore -
17. House With No Door
1曲目のイントロを弾いたときのピーター自身の驚きは如何ばかりだったでしょうか。すぐに気付いてはいたものの、途中で曲を止めるということはせずに、きちんと1曲弾きとおしました。そして、笑いながら、違う日のセットリストを間違って目の前に置いてしまって、ついそのまま弾き始めてしまったと説明。そして改めてピアノの鍵盤をたたき始めました。これまでの中でももっともデンジャラスでアヴァンギャルドな「The Siren Song」です。ここまでぶちきれた演奏も珍しいでしょう。
これまでの三日間はピアノ曲を4つやってからギターへと移っていましたが、今日は、1曲目をカウントせずとも5曲、つまり6曲のピアノ曲を演奏してからギター曲へと移りました。全体としてとても強烈にぶちきれた演奏で、頭が吹っ飛びそうになってしまいましたが、最初のピアノ曲の中でも「Gone Ahead」は、これまでの中でも最も荘厳で、鋭利な刃物のような研ぎ澄まされた緊張感を漂わせた名演だったと思います。
ギター曲に移って「Amnesiac」も、これでもかと叫ぶピーターに圧倒されました。荒々しいまでの迫力でそのまま曲を続けるかと思えば、「The Birds」ではこれもまたとてつもなく感動的な演奏。そしてかなり久しぶりではないかと思われる「Like Veronica」。ギターだけでこの曲を聴いたのは、もしかしてこれが初めてかもしれません。2004年までのスチュアート・ゴードンとのデュオ・バージョンと比べるとまったく別の曲のようにも聞こえました。素晴らしい。
しかし、ここでサプライズ! なんとVdGGの最新作「A Grounding in Numbers」(2011年3月発表)の中から「日本と縁のある曲だ」という紹介と共に「文章」を演奏してくれたのです。VdGGの春ツアーでは演奏されていたとは言え、まさかソロでこの曲をやるとは思いませんでした。さらには、名曲・人気曲「Modern」。この流れはたまりません。
一昨年の京都公演で演奏されて以来の「This Side of the Lokking-grass」も素晴らしい出来でしたが、その後にはさらにサプライズ。VdGG新作からさらにもう一曲を演奏です。ギター曲とピアノ曲を1曲ずつプレゼントということでしょうか。全く持って心憎いセットです。
そして、力強く「Labour of Love」を歌った後は、「この特別なセットの最後の曲だ」と言って、取って置きともいえる「A Way Out」を演奏し始めました。そこには、たとえ1曲間違えて増えてしまっていても、あくまでも用意したセットをきっちりと全て演奏するのだという意志が垣間見えました。この曲を聴いた時、もう心の中では号泣です。そして嵐のような拍手の中、ステージを去っていきました。
そして、アンコール。
なんと、VdGG楽曲がもう1曲。しかも、昨年まで長いこと滅多に演奏されなかった「扉のない家」です。なんと意表を突いた選曲でしょうか。完全にノックアウトされました。もはや言葉がありません。
終演後、2度目のアンコールを求める拍手は長く続いたものの、さすがに5日間のステージをこなした後だけに再びステージに戻ることはありませんでした。
こうして、大阪から始まった5日間の日本公演は終了したのです。昨年、4日間、異なるテーマを掲げてのチャレンジャブルな公演を行ったわけですが、今年は、実はさらなる難しい挑戦だったといって良いでしょう。破壊と創造、そんな言葉がふと頭に浮かびました。ピーターのライブは一方で楽曲を破壊しながら、もう一方で新たにその曲を創造しなおしていると言っていいでしょう。ピーター自身が好んで言うように、彼の音楽は「Godbluff」すなわち「神をも脅かす」ほどの素晴らしい音楽だと思います。この音楽をリアルな体験として公演に参加できることを幸せに思います。
さて、次なる挑戦はどんなものになるのでしょうか。
by BLOG Master 宮崎

