RidArt: Paul Ridout氏による『Thin Air』ジャケット・デザインにまつわる作品 |
「Storm Warnings」という映像作品をご紹介しておきたい。
これは、ピーター・ハミルのジャケット・デザインを手がけているポール・リダウト氏の作品だ。そして、ピーターの最新作『シン・エアー(Thin Air)』のジャケットに用いられた写真はこの中の1枚である。
『シン・エアー』のブックレットの最後にあるクレジットから、『シン・エアー』のジャケット写真は、この映像作品から取られたものであることが分かる。そこで、ポール・リダウト氏のホームページを訪れ、この映像作品を見てみることにした。
Storm Warnings (9’27”)
このビデオ作品の詳細は、「細かく観察された水平線(Minutely Observed Horizon)」となっている。しかしそれは普通に訳した場合だ。実際には「分刻みに観察された水平線」と言う方が正しいだろう。制作は2005年となっている。
実際にこの映像は、一月のある日に、6時間以上をかけて、一分おきに撮影された水平線の定点観測画像(静止画)を6ヶ月以上かけて編集したもので、この一分毎に撮影された静止画を、じわじわと変化するようなモーフィングのテクニックを用いて動画のように仕上げてあるのだ。それは天気、光、そして季節の変化が約9分半の作品の中に凝縮されている不思議な作品となっている。
オーディオ・トラックが付いているのだが、これについての詳しい説明はない。ただ、よく聴くと、どうやら、この音も、映像と同時に収録されたものをベースにして、スタジオで編集したものではないかと思われる。遠い雷の音や風の音、時折人の声が聞こえる。さらには電気的なノイズのようなものも聞こえるので、なにかしら楽器(機材)で音を足しているのではないだろうか。自然音もかなりイコライジングされていたり、エコー処理がされている。人の声は何をしゃべっているのか良く分からない。
この映像作品を、音を消して流しながら、『シン・エアー』を聴いてみる。とても不思議だ。
by BLOG Master 宮崎