"The Aerosol Grey Machine" (1969) |
"The Aerosol Grey Machine" (1969)
1. Afterwards
2. Orthenthian Street
3. Running Back
4. Into A Game
5. Ferret & Featherbird
6. Aerosol Grey Machine
7. Black Smoke Yen
8. Aquarian
9. Giant Squid
10. Octopus
11. Necromancer
1. Afterwards:今でもソロ・ライブで時折歌われるこの曲は、メロディが大変美しいバラッドだ。もちろん、このアルバムでの録音はまだ二十歳そこそこの、若々しく、非常に高い声で、歌い上げている。
2. Orthenthian Street:ミドル・テンポの小気味良い曲。アコースティック・ギターとピアノを軸に、少しドコドコ気味のドラムスが硬めのベースと絡んで面白い味を出している。
3. Running Back:ゆったりとしたテンポが、じっくりと歌を聴かせる曲だ。ジェフ・ピーチのフルートも印象的に登場する。
4. Into A Game:割とハードで、ヘヴィな楽曲だ。キース・エリス(故人、この後ボクサーなどで活躍する)のベースがガイのドラムスとともに、曲を盛り上げていく。旧LPのA面ラストを飾るに相応しい曲だ。
5. Ferret & Featherbird:レコーディングはされたもののLPでは未収録となったボーナス・トラック。後のピーターのソロ・アルバム『イン・カメラ』でのバージョンとは異なり、輪郭のはっきりした演奏で、アコースティック・ギターの弾き語り的な演奏を軸にほかの楽器が支えている。この曲がなぜ当時落とされたのかは定かではない。
6. Aerosol Grey Machine:最初期に関係した友人なども加えた男声コーラスが大変賑やかな短い曲。コミカルなメロディとアレンジが割りと記憶に残るのだ。
7. Black Smoke Yen:短いインスト・ナンバー。前期VdGGにも通じるダークな雰囲気があるが、やはりキーとなっているのはキース・エリスのベースだろう。
8. Aquarian:全曲からクロス・フェードするアコースティック・ギターによってテンポが変わり、ドラマチックで重い印象の前半から、陽性のコーラスを伴う後半へと展開する長尺曲。混沌とした部分と整然とした部分が交じり合い、完成度という意味ではまだまだ未熟な部分も多いが、その分フレッシュな感じを受ける。
9. Giant Squid:
10. Octopus:なぜ「烏賊」と「蛸」なのか。後の『ポウンハーツ』録音時にはスタジオ・ライブで「Squid1/Squid2/Octopus」として一つの長い曲としてまとめられているが、ハードなリフとダークな展開。2nd以降の音楽性を予見させるに十分なヘヴィな楽曲。
11. Necromancer:これもまた少し変わった楽曲だ。中世英国音楽的なリズムと展開にハードなオルガンが絡んでいく。覚えやすいメロディもあいまって、人気はある。
全体の印象として、2枚目以降のアルバムと大きく異なる点が二つある。
一つは、ピアノの多用だ。そもそもバンドの楽曲としてかかれたものとソロ用に書かれた楽曲が入り混じっていることもあるし、録音の時点ではこれはピーターのソロ・アルバムだったのだという背景を考えると、バンドでは中心的な存在のオルガンを敢えて控えめにし、ピアノをメインに据えたのではないか、というかんぐりも出来る。その一方でオルガンが暴れまくる「烏賊/蛸」のような曲もあるので、判断しかねるところだ。もちろん、「6時間の練習、12時間の録音」というピーターの解説を見た限りでは、事前にピアノ用のアレンジを準備していなければ難しかったのではないかとも思っており、だとしたら、もともとのアレンジがピアノであった可能性は十分にある。
いずれにせよ、ソロ・ライブではたまに「Afterwards」が演奏されるのは間違いない。VdGGでははたして可能性はあるのだろうか?「烏賊/蛸」を聴いてみたい気もするが...。
by BLOG Master 宮崎