"Med Tofraboga" Graham Smith |
HLID A
1 Sudurnesjamenn
(Sigvaldi Kaldalons) (4.00)
2 Hvers Vegna Varstu Ekki Kyrr
(Johann G. Johannsson) (4.10)
3 Sofdu Unga Astin Min
(Islenzkt Djodlag) (3.25)
4 Blitt Og Lett
(Oddgeir Kristjansson) (2.20)
5 Blau Augun Din
(Gunnar Dortharson) (4.12)
HLID B
1 Stolt Siglir Fleyid Mitt
(Gylfi AEgisson) (3.14)
2 Jardarfarardagur
(Dorir Baldursson) (4.02)
3 Hrafninn
(Gunnar Dortharson) (4.22)
4 Viltu Med Mer Vaka I Nott
(Henni Rasmus) (3.38)
5 Kontoristinn
(Magnus Eiriksson) (3.05)
この記念すべきソロ第一作目はLPが手に入ったので、ストリング・ドリヴン・シングの3枚目以降に移る前に、グラハム・スミスのソロ作品を紹介してみたい。
Graham Smith: violin
Adrir Hijodfaeraleikarer: organ(?)
Petur Hjaltester: piano
Tryggvi Hubnr: guitar
Palmi Gunnarsson: bass
Sigudur Karisson: Drums(?)
曲によってこれにゲスト扱い(?)でサックスやチェロ、ホーン、マリンバなどが加わるのだが、アルバムのもう一人の主役とも言うべき人がいるようだ。それがアイスランドのトップ・アレンジャーとして紹介されているOlafur Gaukurであり、彼がほとんどの曲をアレンジし、このアルバムをプロデュースしている。そしてそれが、良くも悪くもこのアルバムの最大の特徴である。選曲からアレンジまでのすべてがほどほどにパワフルだが耳当たりのよいイージー・リスニング風になってしまっているのだ。選ばれた曲は「アイスランドの最もよく知られた作曲家たちによる楽曲のセレクション」となっているが、ぱっと見て分かる作曲家は一人もいなかった。
アルバムは時々グラハムのバイオリンをどこかに置き忘れてきたかのようなバランスでバックの演奏を前に出す場面がある。そういった、ソロ・アルバムと呼ぶにはちょっと他のメンバーの存在感が強いかな、という場面もあるが、基本的にはグラハムのソロ・パートもふんだんに取り入れられていて結構楽しめる作りになっている。ただ、個人的にはソロと言うよりもバンドのアルバムと言った方がしっくり来るような印象だ。確かにアレンジは非常によく練られていて、聞いていて安心感のある仕上がりなのだが、それはVdGからグラハムを聴き始めた人間にとってはちょっと方向性が物足りない。中にはおぉっと思わせる瞬間がないわけではないのだが、全体としては口当たりのよさが別にグラハムでなくてもよかったのでは?と思わせるのだ。基本的にはポピュラー・ミュージックとしてより多くの聴衆に楽しんでもらうための華やかで聞きやすい音楽に仕上がっているように思える。
それでも背中がぞくぞくっと来る瞬間が確かにある。特にB-3での泣きのギターとの掛け合いが大変素晴らしい。演奏の持つエネルギーとしては後に紹介するもう一枚よりもはるかに強い。各演奏者の個性と言うか存在感もきちんと前に出ていて、もし、それぞれの演奏者のことをもう少し知っていたらもっと楽しめるだろう。名前から察するに全員アイスランドのミュージシャンだろうが、このアルバム以外に彼らの音を聴く機会はなかったのでどんなミュージシャンなのかは分からない。その点が惜しまれる。
それにしても最後の曲は何なのだろう。まるで日本の古い歌謡曲のようなフレーズが飛び出してくる。こんなのありか?と思わず笑ってしまった。繰り返しになるが、このアルバム、総じてより多くの聴衆へ向けて発せられた、まさに音を楽しむための音楽だと言うことができるだろう。その点において私はこのアルバムを大いに肯定するものである。決してトラッドのアルバムではないのでご注意を。
by BLOG Master 宮崎
2007年にCDで再発されたもののジャケットを追加した。ダウンロード販売も行われており、気になっていた方は聴いてみてほしい。