PH 参加作品紹介 1. 高橋鮎生関連作品 |
(以下の曲目で * が付いている曲においてピーターが参加している)
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"Nova Carmina" (1986)
1.Guide Us(Water Music) (2'12")
2.Sounds of You (4'43")
3.Silent Springs (2'10")
4.Across the Seasons (3'59")
5.Half Moon / Full Moon (2'48")
6.Veris Leta Facies (4'04")
7.End of Earth (5'53")
8.With Closed Eyes (4'22")
9.Old Dance (1'24")
10.Axe Phoebus Aureo (3'02")
11.Eye to Eye (5'41")
* 12.Grates Ago Veneri (3'42")
鮎生氏のCDとしては最初の作品である本作は、鮎生氏が録音をデヴィッド・ロードのクレセント・スタジオで行ったことで、後の交流へとつながったのだという。このアルバムでは残念ながらピーターは歌っていない。鮎生氏はここで、「ラテン語でのカルミナ・ブラーナの朗読ができる人」を探していたのだ。そこでデヴィッド・ロードが紹介したのがピーターであった、というわけだ。
ピーターがラテン語を朗読しているのは最後のトラックで、バックにはイギリスのウェルス教会のそばを流れる小川のせせらぎが用いられている。
このアルバムの録音によってピーターと知り合った鮎生氏は翌年の沢井一恵さんのソロ・アルバムをプロデュースする際に再び録音をデヴィッド・ロードに頼み、クレセント・スタジオで行っている。
沢井一恵という人はお琴をやっている人にはとても有名な人のようで、数々の国際的な活動を通じて多くのアルバムを発表、あるいは参加している。
"Eye to Eye - 目と目" (1987)
きみとぼくの絵の中の姿
1. やっつのころに(6'09")
2. けっこんのよるに(2'32")
3. しじゅうのときに(2'50")
4. 二人は竹のいすにすわり空の月とその湖の反射をながめた(8'30")
*5. 散りゆく花の歌(13'05")
6. A Letters from a Strangers Childhood(6'05")
7. みだれ(10'46")
8. 目と目(8'41")
9. 橋をわたって(13'30")
本作は、彼女のごく初期の作品ということで(ソロ第一作?)、全9曲中7曲を鮎生氏が書いており、残り2曲は沢井一恵のリサイタルのために鮎生氏の父親である高橋悠治氏が書き下ろした曲と、元インクレディブル・ストリング・バンドのロビン・ウイリアムソンが鮎生氏の委嘱によってこのアルバムのために書いた曲である。
ピーターが歌っているのは13分を越える5曲目で、サラ・ジェーンモリスとの混声デュエットである。この曲には他にデヴィッド・ロード人脈からコーギスやスタクリッジで活動していたジェームズ・ワレン(James Warren)がコーラスで参加。それにガイ・エヴァンスがドラムスを叩いている。この曲以外ではもちろん演奏していない。
それから10年。もうこの二人の共演はないのだろうか、と寂しく思っていたとき突然発表されたのがこの「正倉院の楽曲」アルバムである。
"Songs from a Eurasian Journey" (1997)
1.Arise My Love (7'23")
2.詩人の恋(The Poet's love) (6'18")
3.Floating Dream (7'28")
4.Nava (0'53")
*5.Perfumed Scorpion (2'03")
*6.Layla~interlude (3'49")
*7.My Gazelle (2'51")
8.Persian Suite (4'27")
Reng in Homayun
Jazz Break
Reng in Homayun II
The Apricot Seller
Sheydai
Nava II
*9.Wrong Footed (3'40")
10.The Lamia (6'29")
11.Tao (6'39")
12.幻燈詩(A Magic Lantern Poem) (8'03")
*13.Ellipse (4'09")
14.Etenraku Jig (4'15")
*15.Air (6'50")
16.きみになれたら(Kim Ni Naretara) (2'54")
ほとんどの楽曲がその起源を古楽に求められており、それを鮎生氏が独自の解釈でアレンジ、改変しているものである。それに対して6曲で英語歌詞を書き、歌っているのがピーターという訳だ。オリエンタルなメロディでのピーターがとてもいい。また他のアーティストのアルバムでこれだけたくさん歌っているのも珍しいだろう。
そして、再びこの二人のコラボレーションということであまりにも大きな期待をしてしまったのだが、なんと、次のアルバムではピーターは歌っていないのである。
"Earth Guitar~千の春の物語 " (2002)
*1.My Dearest(Moy Dillbere) (6'09")
2.The Holy Man and Sinner (8'10")
3.Standing at the Edge (5'38")
4.Dance of Life (4'55")
5.今宵は春の宵 (4'43")
6.Cantigas (6'15")
7.Different Languages (8'34")
8.Rain and Snow (5'14")
9.1000 Springs (6'11")
10.EVOLVING (4'44")
11.He Needs Something To Believe (Eurasian Tango 3) (6'52")
ピーターは、このアルバムの1曲目でナレーションのみで参加している。そういう意味で、歌っているピーターを期待した私には少し残念だったのだ。この1曲目は日本在住(当時)のポーランド人女性歌手のヤドランカがリード・ボーカルであり、その歌唱は大変素晴らしい。曲も激しくアップテンポなものだけに、もしピーターが歌っていたら、と思うとなおさらなのである。
ということで、高橋鮎生氏の関連作品を挙げてみたが、いかがであったろうか。今回は、あくまでもピーター・ハミル参加の作品ということで、ピーターのファンから見た一面だけを紹介しているが、高橋鮎生氏の音楽は多くのファンを持ち、太田裕美とのコラボレーションも多く、素晴らしい音楽を作り続けている第一級のミュージシャンだ。彼に興味を持った方はまずは「ユーラシアン・ジャーニー」から手にするのが一番無難だろう。ピーターの歌がたくさん聴けるだけでなく、ジェネシスのカバー曲という思わぬ伏兵もあることだし、とっつきやすいのではないだろうか。注意しておいて欲しいのは、この「ユーラシアン・ジャーニー」の販売権を持っているビクターでは、現時点では廃盤になっている、ということだ。なので、店頭やカタログで見かけた場合、躊躇せずに購入しなければ次入手できるのがいつになるのか皆目見当が付かない。マネジメント側ではライセンス供与で製造販売をしてくれるところを探しているようだが、当面はこの状況が続く可能性が高そうだ。
by BLOG Master 宮崎