どのアルバムから何曲? Which Album How Many Songs taken from |
さて、ライブに向けての予習に戻りましょう。これまでは、どの曲が何回演奏されてきたのかを下位から上位へとカウントダウン方式でご紹介してきました。今回は、どのアルバムが、何曲くらいライブで演奏される曲を持っているのかを比較してみましょう。
まず、これまでに1曲しか演奏されていないアルバムを見てみると、
"The Aerosol Grey Machine"(1969 VdGG)
"H to He, Who Am the OnlyOne"(1970 VdGG)
"Godbluff"(1975 VdGG)
"Exposure" (1979 Robert Fripp solo album)
"A Black Box"(1980)
"The Noise"(1992)
"Roaring Forties"(1994)
"Incoherence"(2004)
"Trisector"(2008 VdGG)
上記の内、「エクスポージャー」だけはロバート・フリップのソロ作品での客演ですが、他はソロ、VdGGのアルバムがバランスよく4枚ずつ、つまり4曲ずつ入っています。
では、アルバム中2曲が演奏されている作品は?
"Fool's Mate"(1970)
"The Silent Corner and the EmptyStage"(1974)
"In Camera"(1974)
"Nadir's Big Chance"(1975)
"Still Life"(1976 VdGG)
"World Record"(1976 VdGG)
"Out of Water"(1989)
"This"(1998)
"Clutch"(2002)
"Present"(2005 VdGG)
"A Grounding in Numbers"(2011 VdGG)
"Otherworld"(2014 Peter Hammill / Gary Lucas)
2曲となるとアルバムの数が増えますね。ゲイリー・ルーカスとのアルバムも含めてソロ作品が多くなります。
次に、その中から3曲が演奏されたアルバム
"Enter k"(1982)
"In a Foreign Town"(1988)
"Fireships"(1991)
"X my Heart"(1996)
"Everyone You Hold"(1997)
"None of the Above"(2000)
"Singularity"(2006)
"Thin Air"(2009)
3曲となると、少しアルバムも絞られてきた感じです。今世紀入ってからのアルバムはやはりリアルタイムに新作として発表されたこともあり演奏された曲数そのものが多いので、なるほどね、という感じでしょうか。70年代の作品がないのが特徴的です。VdGG作品もありません。
さらに、進んで、4曲が演奏されているアルバム
"The Least We Can Do Is Wave ToEach Other"(1970 VdGG)
"Over"(1976)
"The Future Now"(1978)
"pH7"(1979)
"Skin"(1986)
"What's, Now? " (2001)
"From the Trees"(2017)
ここでは、昨年「V」として日本限定特別販売されたCDRからの楽曲を、今年11月発売予定の新作からの楽曲だとして数えています。さきほどとは逆に70年代後半のアルバムが目につきます。やはり名盤揃いの時期と言えるのでしょうか。いずれもファンならば必ず持っているだろう作品ばかりです。
そして、収録曲中5曲が演奏されているアルバム
"Chameleon in the Shadow of theNight"(1972)
"The Quiet Zone, the PleasureDome"(1977 VdGG)
"Sitting Targets"(1981)
"Patience"(1983)
"Consequences"(2012)
このレベルから上のアルバムはいわゆる「MUST HAVE」アイテムだと言えるでしょう。ピーター・ハミルのライブ入門者がまず聞いておくべきアルバム群だと言ってもいいかもしれません。
そして最も多い6曲が日本公演で演奏されているアルバム
"And Close As This"(1986)
そう、両手だけでの鍵盤アルバム。キース・エマーソンとの共作1曲を含み、アルバム全8曲中6曲が演奏されたことがあるという驚異的なヒット率。ただし、6曲すべてが最近も演奏されているとは限りません。
もう一つ追加しておくと、これまでに1曲もソロでは演奏されたことがないアルバムというのもあります。
"...all that might have been..." (2014)
"Pawn Hearts"(1971 VdGG)
"Do not Disturb"(2016 VdGG)
これら3作品については、説明するまでもないと思いますが、「...all thatmight have been...」は、アルバムを通して一つの大きな作品であるのは「Incoherence」と同じですが、違うのは一部だけを抜き出して歌うことが難しい構成になっていることです。「Song」ディスクはそれぞれ独立したトラック構成となってはいますが、それでもやはりその中の一つを独立した1曲として扱うのが難しいようです。
「Pawn Hearts」は、ソロ演奏に向いている曲がない、と言った方がいいかもしれません。「Man-Erg」は聴いてみたい曲ですが、やはり難しいんでしょうね。「(In a)Black Room」をソロでやれるなら、「Man Erg」も!と思いますが、残念ながら実現していません。
「Do Not Disturb」については、まだVdGGでのライブ演奏もありませんが、ピーターに昨年質問したときには、「VdGGの曲はまずVdGGで演奏してから」というのが答えでした。
上記のアルバムは、すべてスタジオ作品ですが、これら以外のアルバムでも効率の良い予習をしたい方向けには、別の作品を聴くという手があります。
<Peter Hammill Compilation>
"The Love Songs"(1984)
"The Thin Man sings Ballads" (2002)
まずは、コンピレーション・アルバムです。「The Love Songs」は、10曲中9曲が日本で演奏されたことがある曲ですし、「The Thin Man singsBallads」も全12曲中9曲が演奏されたことがあります。ダブっているのは2曲のみです。
また、ライブ・アルバムという手もあります。もちろん、KグループやVdGGのライブはバンドでのライブなので直接的な参考にはならないと思いますし、ニック・ポッターやスチュアート・ゴードンが参加しているものもありますので、完全なソロ・ライブに絞って始めるというのが良いかもしれません。
<Peter Hammill Live Album>
"Typical"(1999)
"Pno, Gtr, Vox" (2011)
"Pno, Gtr, Vox Box" (2012)
余裕があれば、デュオやトリオでのライブも参考になると思います。
"Room Temperature Live"(1990)
"Veracious" (2006)
完全ソロとこれらの演奏フォーマットの違いも、音楽を楽しむうえでは重要な違いです。演奏や謡にどのような影響があるのか、ないのか。細かな違いをぜひ楽しんでみてください。
by BLOG Master 宮崎
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