PH on Twitter;ジェフ・リン、ジョナサン・デミ「小さな目撃者」 |
最近のツイッターでの発言を二つほどご紹介。
まず1件目は、イギリスの雑誌「PROG」のELOに関するツイートに対してのコメント。
Prog @ProgMagazineUK 4月16日
ELO made their live debut today in 1972 at Surrey's Greyhound Club.Here Jeff Lynne recalls their early days...
Peter Hammill @Sofa_sound
返信先: @ProgMagazineUKさん
fwiw VdGG's first proper pro gig was supporting Idle Race at the NorthWestern Polytechnic....
21:28 - 2017年4月16日
ELOのデビューが1972年のこの日だった、というツイートに対して、ピーターが言及しているのは、ELOの中心人物であるジェフ・リンがELO以前に組んでいたサイケデリック・ポップ・バンドである(ジ)アイドル・レイスとの関係。
「価値があるかどうかはともかく、VdGGの最初のプロとしてのギグは、ノース・ウェスタン・ポリテクニックでのアイドル・レイスのサポートだった。」
つまり、アイドル・レイスの公演のオープニング・アクトを務めたのがプロとしての最初のライブだったということです。デビュー当時のVdGGはサイケデリック扱いだった、ということをうかがわせるエピソードだと言えるかもしれません。
そしてもうひとつは、つい先日訃報が流れた映画監督ジョナサン・デミについてのツイート。
Peter Hammill @Sofa_sound
RIP Jonathan Demme. A Really Good Man.
3:17 - 2017年4月27日
映画「羊たちの沈黙」で知られる映画監督ジョナサン・デミ(享年73)は、ほかに「フィラデルフィア」、「サムシング・ワイルド」などの映画のほか、米ロックバンドのトーキング・ヘッズのドキュメンタリー「ストップ・メイキング・センス」などが有名ですが、実はVdGG/PHの大ファンでもある、ということで、「ザ・ブック」の中でもインタビューを受けています。
1970年のVdGG唯一の映画音楽を実現したのが、実は、当時アメリカの音楽ジャーナリストだったジョナサン・デミでした。当時、「ザ・リースト・ウィ・キャン・ドゥ・イズ・ウェイブ・トゥ・イーチ・アザー」をリリースしたばかりのVdGGに、当時ジェームズ・ボンド映画で有名だったアルバート・R・ブロッコリ(愛称はカビー)の事務所のオーディションを受けさせている。そして作品「小さな目撃者」(1970 原題「Eyewitness」米国では「Sudden Terror」、主演マーク・レスター)のプリ・プロダクションにおいて、サウンドトラックをVdGGに担当させることが検討されていた。その時にバンドの代理人となったのがジョナサン・デミで、彼はアメリカの雑誌「フュージョン」にアルバム「ザ・リースト…」のレビューも書いていました。そのデミが映画のサウンドトラックのためにバンドを探してほしいと依頼されたときにすぐさまVdGGを考えたということです。
デミはアメリカ人ですが、当時何度かイギリスでVdGGのライブも見ており、とても感銘を受け大ファンになったとインタビューで答えています。「小さな目撃者」はアーヴィン・アレンにより製作総指揮されたのですが、もう一人ポール・マスランスキーがプロデューサとして加わり、そのポールがポップ・ミュージックも加えたいということで、実際の映画ではVdGGの音楽が重苦しい場面に使用され、甘いロマンティックな場面にはフェアフィールド・パーラー(当初はカレイドスコープという名前)というバンドの音楽が使用されています。残念なことに、その後作曲家のDavid Whitakerがフェアフィールド・パーラーを使った自作曲を多用することを主張し、結果的にVdGGの録音したほとんどは使われなかったということになりました。しかし、映画を見てみると、殺人の場面や恐怖を演出する場面ではわずかに使用されており、映画のエンドロールでもしっかりとバンド名がクレジットされています。しかしながら、クレジットは「アディショナル・ミュージック」とあくまでも「追加音楽」扱いでしかありません。
「小さな恋のメロディ」で有名になったマーク・レスターが主演ということで、映画は日本でも1971年に「小さな目撃者」の題名で公開されており、ビデオも販売されました。調べてみると、今年1月にDVDが発売されたようで、現在入手可能なようです。ご興味を持たれた方はいかがでしょう。また、1970年には「小さな目撃者」のタイトルでフェアフィールド・パーラーのシングル盤も発売されたようです。残念ながらB面もFPの演奏なので、このVdGGが手掛けた映画音楽をレコードで聞くことは不可能です。「ザ・ブック」でのインタビューによれば、VdGGはかなり大量に録音を行ったようですので、もし、それが世に出ることがあれば「ザ・リースト…」と「H to He」の間を埋める貴重なものとなるでしょう。この映画音楽の録音のしばらく後にVdGGはドイツに渡りTV番組「ビート・クラブ」での「ロバートの告白」と「ダークネス」の録音を行っています。
by BLOG Master 宮崎